このところ林業や木材関係のニュースで、木質バイオマス発電のことが掲載されない日はありませんね。言うまでもなくFIT法の影響ですが、法律の威力ってすごいものだと思います。それだけに、責任も重大だと言えるわけですが。
バイオマス発電の計画も、発電効率を追って大型化する傾向にあるようです。例えば、
「住友商事、愛知県半田市に日本最大級のバイオマス発電所を建設開始」
http://plant.ten-navi.com/news/4070/
「愛知県半田市におけるバイオマス発電所建設開始について」
http://www.sumitomocorp.co.jp/news/detail/id=27923
愛知県のそれは、7.5万kWのバイオマス発電とのことですが、これって先日取り上げた「ウッティかわいバイオマス発電」の15倍ですよ!確かに5,000kW程度では本格的な発電所とは呼べないのかもしれませんが、それにしても、こんな巨大な規模でもバイオマスで動かせるんですね。
その秘密は何といっても、輸入チップやパームヤシ殻を燃料にしているからでしょう。現地で集積している未利用バイオマスを大量に仕入れて、コンテナ船で日本に運んで発電するわけですね。
バイオマスが集積している地域は途上国がほとんどでしょうから、エネルギーかけて日本に運ぶよりも、できることなら現地で発電して、その国の経済力や教育水準を高めることに使えば良いのになぁ、などと思ってしまうのは、自分が経済に疎いからでしょうか?商社の皆さんとか、たいへんなご努力をされていことは重々知りつつも、FIT法の影響力の大きさにモヤモヤしたものを感じてしまいます。
さて、前置きが長くなりましたが、先日、大分県日田市のバイオマス発電施設である株式会社グリーン発電大分「天瀬発電所」を見学する機会に恵まれたので、「ウッティかわいバイオマス発電」と比較しながらご紹介したいと思います。というのも、この2つの発電所はバイオマスの調達方法は異なるものの、規模的にまったく同一だからです。
まずは、発電施設のスペックなど。
■所在 大分県日田市天瀬町五馬市245-4
■発電出力 5,700kW(うち、施設内利用700kW)・・・一般家庭の10,000戸分相当(1戸当り4.2MWh/年として)
■ボイラー形式 流動層ボイラー
■実際蒸発量 25,000kg/h(ボイラー出力15,700kW相当)
■蒸気タービン形式 抽気復水タービン
■木質バイオマス使用量 60,000トン/年(全量、間伐材等由来の木質バイオマス)
■バイオマス買取価格 7,000円/トン(生材)
発電出力、ボイラー形式はほぼ同一。違いといえば、
1)「かわい」は利用するバイオマスの半分が自社工場の端材、残り半分が買取りだったのに対し、「天瀬」は全量が買取りとなっている。
2)バイオマスの買取り価格が、「かわい」が5,000円/トン程度であるのに対し、「天瀬」は7,000円/トンと高い。
こうしたバイオマス調達の違いを見ると、「天瀬」のほうが「かわい」よりも事業化のハードルが高かったような気がします。ただし、「天瀬」の立地する日田市の取組みとして、市内全域の森林で森林経営計画を策定済みであることが挙げられます。
これにより、日田市内から伐採された木材であれば、原則的に伐採届の手続きさえ行えば、間伐材等由来の木質バイオマス(間伐材・保安林材・森林経営計画材・国有林材)の認定を受けられることになります。
発電所としても、材の集荷範囲は半径50kmと想定しており、この範囲で無理なく操業できる規模として5,000kWクラスが選定されたそうです。これら認証材の証明書の管理・整理に相当な事務労力を費やしている、とのこと。
また、バイオマスの買取価格を7,000円/トン(生材)とし、水分の多寡は問わない決まりにしたそうです。例えば、雨の日に材を持ち込めば発電所としては不利になりますが、7,000円/トンの単価の中でこれを吸収しているとのこと。この単価は、材を集めるためのインセンティブとなるよう、かつ、他の製材業などを圧迫することのないよう、慎重に検討したとのことです。
なお、材積(㎥)と重量(トン)の換算係数は「1」、すなわち1㎥=1トンとしているそうで、これは事前に実測した結果によるとのこと。かなり水分の多い材を想定していることが分かります。
材の水分の多寡を問わない代わりに、「天瀬」には「かわい」に無い装備がありあます。それが、チップの水分を調整するロータリーキルンで、この装置のおかげで、多少水分の高い材であっても安定してボイラーで燃焼させることが可能となっています。
チップ化された材は、ロータリーキルン(右側の水平になった筒)を通ってボイラーに送られていきます。ロータリーキルンは木質チップの熱源(左側の縦の筒型のボイラー)で暖められていますが、この熱源は発電とは無関係でFITに算定されないため、建築廃材チップを使用しているそうです。
ちなみに、FIT対応バイオマス発電所の第1号といわれる福島の「グリーン発電会津」も、発電用ボイラーに投入する前段階でチップの水分調整をしていますが、「会津」はロータリーキルンではなくチップの搬送コンベアーを下部から熱する構造でした。「天瀬」は後発だけあって、より積極的に効率よく水分を調整する仕組みになっていると思いました。
バイオマス材の受入れはトラックスケールによるもので、「かわい」でもどこでも変わりありません。
敷地いっぱいに材が積まれていましたが、隣接地にまだ空きスペースがあるそうで、できれば2~3ヶ月分をストックし、天日乾燥させながら安定した発電を心がけたい、とのこと。
なお、燃焼灰は山林からの木材だけを燃焼させているため非常にクリーンで、廃棄物ではなく有価物として売却している模様。具体的に何の用途に売却しているかは企業秘密とのことでしたが、廃棄物として経費がかかるのと比べ、有価物として売却できることが経営上有利になっているとのお話でした。
まとめになりますが、やはり、他のバイオマス発電所と同様、熱利用がなされていないのが残念ですが、大分県日田市という林業が盛んな地域で、低質材の売り先として意義のある取組みであると評価できました。
この発電所が無かったら、この地域の低質材が7,000円/トンで売れることは無かったでしょう。九州はバイオマス発電計画が乱立気味の様相ですが、「天瀬発電所」は日田市の地域に根ざした発電所として、どうか末永く運営していただきたいと願うものです。
木質バイオマス利用に役立つ忘備録です。これは!と思った情報を随時アップして参ります。
2014年9月15日月曜日
2014年8月19日火曜日
オーストリア製の薪ボイラーを見学しました
見学レポートが続きますが、今回は発電からガラリと変わって小規模に、家庭用の薪ボイラーを見学したお話です。
聞くところによると、欧州圏では薪ボイラーがたいへんなブームになっているそうです。たしかに、石油やガスのボイラーと違って自分で薪を準備したり、手作業で点火したりする手間はありますが、薪が手に入りやすい地域やご家庭にとっては、これ1台で給湯も暖房もまかなえる魅力的な選択肢といえるでしょう。
これは憶測ですが、欧州通貨(ユーロ)って一時期ほどではないにせよ、円に比べて安いですよね。安いユーロで海外から石油を買うと高くつきますし、欧州圏は様々な環境税が石油に課せられているらしい。要するに、欧州圏の皆さんは石油で暖を取ろうとすると、お金がかかって大変なんだと思います。しかも、冬が寒くて長い国ばかり。
それでも凍死者も出さずに、先進国として社会・経済・文化を保っているのは、きっと地域の資源を地域で活かす仕組みが成り立っているからではないでしょうか?まあ、ロシアからのガスパイプラインのおかげもあるかもしれませんが。このあたり、いつか現地を訪ねてこの目で確かめてみたいものです。
さて見学レポですが、新築されたばかりのこのお宅には、ご紹介する薪ボイラーのほか、居間には輸入品の薪ストーブが設置され、また、建築に使用した木材は地域材に限定、かつ十分な断熱仕様とするなど、施主とご家族の「想い」や「こだわり」が感じられる造りになっていました。
ボイラー室というよりも、お宅の勝手口に納まったコンパクトな機体。オーストリアETA社製、定格で20kW出力のタイプです。大きさは、高さ1,5m、奥行き1.0m、幅0.6mといったところ。
出力のイメージとして、ご家庭のFF式石油ストーブが5kW程度ですから、その4倍ほどの出力があることになります。これ1台で、一家の暖房・給湯が全てまかなえる計算です。
薪ボイラーをご家庭に設置する際、いった何kWの出力を選べば良いのか?貯熱(給湯)タンクは何リットルが適切か?といった計算については、改めて整理していきたいと思います。
メーカーのホームページから断面図を拝借。薪の燃焼方式は、いわゆる「ダウンドラフト式」と呼ばれるもので、図で①の一次燃焼室に詰めた薪を下側の④から着火、Aの吸引ファンを回して燃焼ガスを下側Eの二次燃焼室で燃やしてから、背後の煙管(図で螺旋状のコイルが入っている管)で周りの水に熱を伝え、最後に煙突で排出します。
このように、薪の下から火を点ける「ダウンドラフト式」にすることで、
1)木材を一次燃焼室でガス化、二次燃焼室で完全燃焼させクリーンかつ高効率な燃焼
2)薪が下から逐次に燃えていくので、投入した薪が一度に全部燃え上がることがない
3)そのため、必要な分のまとまった薪を詰めておくことができ、何度も途中で薪をくべる必要がない(もちろん、後から継ぎ足し投入は可能)
4)吸引ファンと一次・二次の空気量を調節することで、ある程度の出力制御が可能
といったメリットがあります。
また、このメーカーの特徴として、手動式の簡易な煙管内のスス払い装置を備えていることが挙げられます。図のとおり煙管内には螺旋状のコイルが入っていて、外のハンドルを動かすことで、煙管内のススを簡単に除去できるようになっています。煙管内部の汚れは熱効率に直結するだけに、簡便にして要領を得た設計といえるでしょう。
お湯は500リットルのタンクに蓄えられます。このお湯は、このまま直接給湯に用いられると同時に、暖房用の貯熱タンクを兼ねています。
各部屋へ暖房の温水を分派する「ヘッダー」と呼ばれる配管部分。当然、「行き」と「戻り」があります。
ボイラー背面の配管接続部。分かりにくくて申し訳ないのですが、温度計とサーモスタット付きのミキシングバルブが付いていて、これでボイラーに戻る水の温度を制御している模様です。このあたりにメーカーのノウハウがあるのでしょう。
さて点火です。点火作業は小学校4年生の長男の仕事とのこと。火を点ける「アソビ」は男の子にとってゲームよりもオモシロイのでは?妹さんも興味津々ですね。
着火の手順は、①一次燃焼室に必要量の薪を詰める、②スス払いハンドルを動かして煙管を掃除、③本体のスイッチを入れて吸引ファンを回す、④下側の点火口から古新聞で着火、⑤モニターパネルに表示される排煙温度が100℃になったら点火口を閉める、あとは自動運転になります。
男の子が説明しながら、やって見せてくれました。
着火した直後。焚き付けを用意するところは薪ストーブと同じです。
下段の二次燃焼室に向かってガスが吸引されている様子。
扉の絵を見れば点火の手順がわかるようになっています。難しいところはありません。
運転状況は上部の液晶でグラフィックに表示されます。
吸引ファンがあるとはいえ、煙突は保温したほうがドラフト(通風力)が出て良いようです。チップボイラーもそうですが、木質ボイラーはみな薪ストーブと同じ理屈です。
薪ボイラーの運転データは全てネット経由でETA本社に送られ、ETAのサーバから運転状況がリアルタイムで見られるハイテク仕様です。売った製品がちゃんと使われているかどうか、メーカーからまる分かり(笑)
岩手でも薪ストーブは一般的に見られるようになりましたが、こうした二次燃焼方式の薪ボイラーはまだ稀です。一方、寒くて長い冬を過ごす欧州圏の方々にとって、暖房と給湯が同時に得られる薪ボイラーは、少々贅沢ながらたいへんありがたい機器なのでしょう。そのニーズが、薪ボイラーをここまでハイテク機に進化させたのだと思いました。
ご覧のとおり使い勝手は極めて良く、薪を準備する以外にこれといった手間はかからないようです。冬が寒くて長いことは岩手も同じ。だとすれば岩手でも、薪ストーブが普及したその先には、こうした薪ボイラーが普及する可能性があるのでしょうか?
聞くところによると、欧州圏では薪ボイラーがたいへんなブームになっているそうです。たしかに、石油やガスのボイラーと違って自分で薪を準備したり、手作業で点火したりする手間はありますが、薪が手に入りやすい地域やご家庭にとっては、これ1台で給湯も暖房もまかなえる魅力的な選択肢といえるでしょう。
これは憶測ですが、欧州通貨(ユーロ)って一時期ほどではないにせよ、円に比べて安いですよね。安いユーロで海外から石油を買うと高くつきますし、欧州圏は様々な環境税が石油に課せられているらしい。要するに、欧州圏の皆さんは石油で暖を取ろうとすると、お金がかかって大変なんだと思います。しかも、冬が寒くて長い国ばかり。
それでも凍死者も出さずに、先進国として社会・経済・文化を保っているのは、きっと地域の資源を地域で活かす仕組みが成り立っているからではないでしょうか?まあ、ロシアからのガスパイプラインのおかげもあるかもしれませんが。このあたり、いつか現地を訪ねてこの目で確かめてみたいものです。
さて見学レポですが、新築されたばかりのこのお宅には、ご紹介する薪ボイラーのほか、居間には輸入品の薪ストーブが設置され、また、建築に使用した木材は地域材に限定、かつ十分な断熱仕様とするなど、施主とご家族の「想い」や「こだわり」が感じられる造りになっていました。
出力のイメージとして、ご家庭のFF式石油ストーブが5kW程度ですから、その4倍ほどの出力があることになります。これ1台で、一家の暖房・給湯が全てまかなえる計算です。
薪ボイラーをご家庭に設置する際、いった何kWの出力を選べば良いのか?貯熱(給湯)タンクは何リットルが適切か?といった計算については、改めて整理していきたいと思います。
メーカーのホームページから断面図を拝借。薪の燃焼方式は、いわゆる「ダウンドラフト式」と呼ばれるもので、図で①の一次燃焼室に詰めた薪を下側の④から着火、Aの吸引ファンを回して燃焼ガスを下側Eの二次燃焼室で燃やしてから、背後の煙管(図で螺旋状のコイルが入っている管)で周りの水に熱を伝え、最後に煙突で排出します。
このように、薪の下から火を点ける「ダウンドラフト式」にすることで、
1)木材を一次燃焼室でガス化、二次燃焼室で完全燃焼させクリーンかつ高効率な燃焼
2)薪が下から逐次に燃えていくので、投入した薪が一度に全部燃え上がることがない
3)そのため、必要な分のまとまった薪を詰めておくことができ、何度も途中で薪をくべる必要がない(もちろん、後から継ぎ足し投入は可能)
4)吸引ファンと一次・二次の空気量を調節することで、ある程度の出力制御が可能
といったメリットがあります。
また、このメーカーの特徴として、手動式の簡易な煙管内のスス払い装置を備えていることが挙げられます。図のとおり煙管内には螺旋状のコイルが入っていて、外のハンドルを動かすことで、煙管内のススを簡単に除去できるようになっています。煙管内部の汚れは熱効率に直結するだけに、簡便にして要領を得た設計といえるでしょう。
お湯は500リットルのタンクに蓄えられます。このお湯は、このまま直接給湯に用いられると同時に、暖房用の貯熱タンクを兼ねています。
各部屋へ暖房の温水を分派する「ヘッダー」と呼ばれる配管部分。当然、「行き」と「戻り」があります。
ボイラー背面の配管接続部。分かりにくくて申し訳ないのですが、温度計とサーモスタット付きのミキシングバルブが付いていて、これでボイラーに戻る水の温度を制御している模様です。このあたりにメーカーのノウハウがあるのでしょう。
さて点火です。点火作業は小学校4年生の長男の仕事とのこと。火を点ける「アソビ」は男の子にとってゲームよりもオモシロイのでは?妹さんも興味津々ですね。
着火の手順は、①一次燃焼室に必要量の薪を詰める、②スス払いハンドルを動かして煙管を掃除、③本体のスイッチを入れて吸引ファンを回す、④下側の点火口から古新聞で着火、⑤モニターパネルに表示される排煙温度が100℃になったら点火口を閉める、あとは自動運転になります。
男の子が説明しながら、やって見せてくれました。
着火した直後。焚き付けを用意するところは薪ストーブと同じです。
下段の二次燃焼室に向かってガスが吸引されている様子。
扉の絵を見れば点火の手順がわかるようになっています。難しいところはありません。
吸引ファンがあるとはいえ、煙突は保温したほうがドラフト(通風力)が出て良いようです。チップボイラーもそうですが、木質ボイラーはみな薪ストーブと同じ理屈です。
薪ボイラーの運転データは全てネット経由でETA本社に送られ、ETAのサーバから運転状況がリアルタイムで見られるハイテク仕様です。売った製品がちゃんと使われているかどうか、メーカーからまる分かり(笑)
岩手でも薪ストーブは一般的に見られるようになりましたが、こうした二次燃焼方式の薪ボイラーはまだ稀です。一方、寒くて長い冬を過ごす欧州圏の方々にとって、暖房と給湯が同時に得られる薪ボイラーは、少々贅沢ながらたいへんありがたい機器なのでしょう。そのニーズが、薪ボイラーをここまでハイテク機に進化させたのだと思いました。
ご覧のとおり使い勝手は極めて良く、薪を準備する以外にこれといった手間はかからないようです。冬が寒くて長いことは岩手も同じ。だとすれば岩手でも、薪ストーブが普及したその先には、こうした薪ボイラーが普及する可能性があるのでしょうか?
2014年8月3日日曜日
「ウッティかわいバイオマス発電」を見学しました(その3) 燃料の要件・価格と受入れ
ブログ更新が遅くなりましたが、今回は「ウッティかわいバイオマス発電」のバイオマス材受入れの要件・価格や、燃料供給の様子を整理したいと思います。
ご案内のとおり、「ウッティかわいバイオマス発電」が消費する木質燃料は年間9万トン程度ですが、このうち半分の4.5万トンは雫石町及び川井村の自社集成材工場から発生するチップでまかなう計画です。これら端材チップは、FIT法で区分されるところの「一般木質バイオマス」に相当し、この燃料から発生する電力は24円/kWhで買い取られる、とされています。
一方、残りの半分の4.5万トンは「間伐材等由来の木質バイオマス」を想定しており、この燃料から発生する電力は32円/kWhで買い取られる、とされています。
「間伐材由来の木質バイオマス」は、丸太のかたちで各地の素材生産事業体(要するに、山で木を切る仕事をする業者)が、ノースジャパン素材流通協同組合を通じて納入することになっています。個々の業者が個別に持ち込んだのでは、1)丸太の検収及び代金の決済事務が煩雑になる 2)発電所の需要に応じた安定的な供給が難しい、といったことから、ノースジャパンが業者を束ねて供給の任を担っていらっしゃるわけです。
併せてノースジャパンは、納入するバイオマス材について間伐材証明を取得・整理する役割も担っています。こうした仕組みは、合板工場に丸太を安定供給する取組みでも見られた手法ですね。
ちなみに、川井林業(雫石工場)及びウッティかわい(川井工場)の原木消費量は合わせて年間30万㎥の計画です。どちらも集成材工場なので、丸太→ラミナの歩留まりは50%程度、したがって年間15万㎥相当の端材チップが発生し、重さにするとおよそ12万トン、このうち4.5万トンが発電に回される計算です。残りはこれまで通り、製紙用チップとして遠く宮城県石巻市の製紙工場に運ばれることになります。
どうやら、安い製紙用チップを運賃をかけて石巻に運ぶより、発電所で24円/kWhで燃やしたほうが利益になるらしいです。それでも、川井林業ほどの大口供給者になると、発電に回すので明日から製紙用は供給ストップします、とはいかないのでしょう。
さて、ノースジャパン素材流通協同組合が示すバイオマス用素材の納入条件は以下のとおりです。
※2014年4月11日現在
(素材規格)
対象 :間伐材等由来の木質バイオマスのみ(間伐材・保安林材・森林経営計画材・国有林材 等)
品質 :バイオマス用素材(C材・D材)
樹種 :スギ・カラマツ・アカマツ(分別して納入)
径級 :6㎝以上、最大径級は上限なし
長さ :1.8m~2.2m
その他:枝・短コロは当面納入不可ですが将来的には納入可能予定です
(納入方法)
川井林業(本社)又は区界計量施設で重量を測定、指定の土場へ荷降ろしする
再度、空車重量を測定し納品書に重量等記入の上、提出する(納品書控えと計量伝票を受け取る)
(納入価格)
スギ・アカマツ @4,500円/トン
カラマツ @6,000円/トン
ただし、上記金額は消費税抜き
(流通手数料)
販売代金の3.5%を徴収します
(決済方法)
販売代金は25日締め翌月末に指定口座へ支払います
上記のとおり、納入価格はトン単位ですが、材積当りに換算(推計)してみましょう。
スギ・カラマツ・アカマツの絶乾比重をそれぞれ0.4・0.5・0.5、生材時の含水率(乾量基準)をそれぞれ100%、80%、100%とします。
すると、スギ=0.8トン/㎥、カラマツ=0.9トン/㎥、アカマツ=1.0トン/㎥となるので、
ス ギ :4,500円/トン ☓ 0.8トン/㎥ = 3,600円/㎥
カラマツ :6,000円/トン ☓ 0.9トン/㎥ = 5,400円/㎥
アカマツ :4,500円/トン ☓ 1.0トン/㎥ = 4,500円/㎥
説明では「受入れ価格は製紙用材の相場に配慮した」とのお話でしたがまさにその通り、製紙用材より微妙に高めの設定にしてある模様です。
材積当りではスギよりもアカマツの単価が高くなっていますが、これは熱量単価に配慮した結果と見て良いでしょう。また、カラマツは生材でも含水率が低く絶乾比重も高いので、バイオマス利用しやすい材として評価していると考えられます。
長くなりましたが、場内のバイオマス材やチップ保管の様子など。
まず、計量施設(トラックスケール)で重量を測定。これは自社工場からチップを運んできたチップ車ですが、これも証明が必要なため、購入する丸太と同様、一律に重量を測定することになります。
チップ車からチップを降ろしている様子。チップ車のゲートを開けてフォークローダでその場に落としていきます。
チップ化前の丸太の様子。丸太の土場は数カ所に別れており、夏場はもっぱら天日乾燥させて水分を下げ、冬場の熱需要増大に備えているそうです。
バイオマス材の様子。丸太なら何でも構わない、といった様子です。
丸太はチップ保管施設内のチッパー(破砕タイプ)でチップ化されます。
広大な屋根付きチップ保管施設。何トン保管できるかは、聞き忘れましたスイマセン。
保管施設にペレットを発見。これは、集成材工場で発生する細かいノコ屑等をペレタイザーで固めたもの。こうした粉体はそのままでは取扱が厄介なため、ペレタイザーで固めてから運搬することにしたとの由。ペレットといっても粉の多いラフな性状で、ストーブ用として販売できる品質ではありませんでした。
ご案内のとおり、「ウッティかわいバイオマス発電」が消費する木質燃料は年間9万トン程度ですが、このうち半分の4.5万トンは雫石町及び川井村の自社集成材工場から発生するチップでまかなう計画です。これら端材チップは、FIT法で区分されるところの「一般木質バイオマス」に相当し、この燃料から発生する電力は24円/kWhで買い取られる、とされています。
一方、残りの半分の4.5万トンは「間伐材等由来の木質バイオマス」を想定しており、この燃料から発生する電力は32円/kWhで買い取られる、とされています。
「間伐材由来の木質バイオマス」は、丸太のかたちで各地の素材生産事業体(要するに、山で木を切る仕事をする業者)が、ノースジャパン素材流通協同組合を通じて納入することになっています。個々の業者が個別に持ち込んだのでは、1)丸太の検収及び代金の決済事務が煩雑になる 2)発電所の需要に応じた安定的な供給が難しい、といったことから、ノースジャパンが業者を束ねて供給の任を担っていらっしゃるわけです。
併せてノースジャパンは、納入するバイオマス材について間伐材証明を取得・整理する役割も担っています。こうした仕組みは、合板工場に丸太を安定供給する取組みでも見られた手法ですね。
ちなみに、川井林業(雫石工場)及びウッティかわい(川井工場)の原木消費量は合わせて年間30万㎥の計画です。どちらも集成材工場なので、丸太→ラミナの歩留まりは50%程度、したがって年間15万㎥相当の端材チップが発生し、重さにするとおよそ12万トン、このうち4.5万トンが発電に回される計算です。残りはこれまで通り、製紙用チップとして遠く宮城県石巻市の製紙工場に運ばれることになります。
どうやら、安い製紙用チップを運賃をかけて石巻に運ぶより、発電所で24円/kWhで燃やしたほうが利益になるらしいです。それでも、川井林業ほどの大口供給者になると、発電に回すので明日から製紙用は供給ストップします、とはいかないのでしょう。
さて、ノースジャパン素材流通協同組合が示すバイオマス用素材の納入条件は以下のとおりです。
※2014年4月11日現在
(素材規格)
対象 :間伐材等由来の木質バイオマスのみ(間伐材・保安林材・森林経営計画材・国有林材 等)
品質 :バイオマス用素材(C材・D材)
樹種 :スギ・カラマツ・アカマツ(分別して納入)
径級 :6㎝以上、最大径級は上限なし
長さ :1.8m~2.2m
その他:枝・短コロは当面納入不可ですが将来的には納入可能予定です
(納入方法)
川井林業(本社)又は区界計量施設で重量を測定、指定の土場へ荷降ろしする
再度、空車重量を測定し納品書に重量等記入の上、提出する(納品書控えと計量伝票を受け取る)
(納入価格)
スギ・アカマツ @4,500円/トン
カラマツ @6,000円/トン
ただし、上記金額は消費税抜き
(流通手数料)
販売代金の3.5%を徴収します
(決済方法)
販売代金は25日締め翌月末に指定口座へ支払います
上記のとおり、納入価格はトン単位ですが、材積当りに換算(推計)してみましょう。
スギ・カラマツ・アカマツの絶乾比重をそれぞれ0.4・0.5・0.5、生材時の含水率(乾量基準)をそれぞれ100%、80%、100%とします。
すると、スギ=0.8トン/㎥、カラマツ=0.9トン/㎥、アカマツ=1.0トン/㎥となるので、
ス ギ :4,500円/トン ☓ 0.8トン/㎥ = 3,600円/㎥
カラマツ :6,000円/トン ☓ 0.9トン/㎥ = 5,400円/㎥
アカマツ :4,500円/トン ☓ 1.0トン/㎥ = 4,500円/㎥
説明では「受入れ価格は製紙用材の相場に配慮した」とのお話でしたがまさにその通り、製紙用材より微妙に高めの設定にしてある模様です。
材積当りではスギよりもアカマツの単価が高くなっていますが、これは熱量単価に配慮した結果と見て良いでしょう。また、カラマツは生材でも含水率が低く絶乾比重も高いので、バイオマス利用しやすい材として評価していると考えられます。
長くなりましたが、場内のバイオマス材やチップ保管の様子など。
まず、計量施設(トラックスケール)で重量を測定。これは自社工場からチップを運んできたチップ車ですが、これも証明が必要なため、購入する丸太と同様、一律に重量を測定することになります。
チップ車からチップを降ろしている様子。チップ車のゲートを開けてフォークローダでその場に落としていきます。
チップ化前の丸太の様子。丸太の土場は数カ所に別れており、夏場はもっぱら天日乾燥させて水分を下げ、冬場の熱需要増大に備えているそうです。
バイオマス材の様子。丸太なら何でも構わない、といった様子です。
丸太はチップ保管施設内のチッパー(破砕タイプ)でチップ化されます。
広大な屋根付きチップ保管施設。何トン保管できるかは、聞き忘れましたスイマセン。
保管施設にペレットを発見。これは、集成材工場で発生する細かいノコ屑等をペレタイザーで固めたもの。こうした粉体はそのままでは取扱が厄介なため、ペレタイザーで固めてから運搬することにしたとの由。ペレットといっても粉の多いラフな性状で、ストーブ用として販売できる品質ではありませんでした。
燃料投入口には、集成材工場のチップ、ペレット、破砕した原木チップと様々な木質バイオマス燃料が混合され、ボイラーに流れていきます。
以上、3回にわたって「ウッティかわいバイオマス発電」の様子を見てきました。どうやら、関東・関西と比べバイオマス材の買取り価格が低いように思われます。それはおそらく、製紙用チップ材との価格差に配慮した結果と推測されますが、今後、この相場がどのように動いていくか注視していきたいと思います。
施設の稼働には様々なご苦労があったことは想像に難くありませんが、発電した電力が新丸ビル向けに供給する再生可能エネルギーとして直接販売されるなど順調に運営されている模様で、「今後、さらに電気料金が高騰するようであれば、自社工場向けに発電施設を増設することも考えたい」とお話されていました。
代表取締役の澤田令氏は、言ったことは実現する方なので、今後もウッティかわいの動向から目が離せませんね。
以上、3回にわたって「ウッティかわいバイオマス発電」の様子を見てきました。どうやら、関東・関西と比べバイオマス材の買取り価格が低いように思われます。それはおそらく、製紙用チップ材との価格差に配慮した結果と推測されますが、今後、この相場がどのように動いていくか注視していきたいと思います。
施設の稼働には様々なご苦労があったことは想像に難くありませんが、発電した電力が新丸ビル向けに供給する再生可能エネルギーとして直接販売されるなど順調に運営されている模様で、「今後、さらに電気料金が高騰するようであれば、自社工場向けに発電施設を増設することも考えたい」とお話されていました。
代表取締役の澤田令氏は、言ったことは実現する方なので、今後もウッティかわいの動向から目が離せませんね。
2014年7月13日日曜日
「ウッティかわいバイオマス発電」を見学しました(その2) 規模や発電効率を知る
労働安全衛生法では、ボイラーは蒸気ボイラーと温水ボイラーとに区分され、それぞれ異なる安全基準や取扱の資格が定められています。
蒸気ボイラーは発電施設だけでなく各種工場の熱源やクリーニング店などの産業用に、温水ボイラーは暖房や入浴施設の熱源などに用いられています。
蒸気ボイラーの出力は「最大蒸発量」で評価されます。これは、最大連続負荷の状態で1時間に発生する蒸発量(kg/h又はt/h)でその能力を示しています。
一方、温水ボイラーの出力は発生する「最大熱量」で評価され、単位はkW(キロワット)で示されることが多いです。
そして、発電所の規模は発生する電力で評価され、単位はkW(キロワット)やMW(メガワット)です。
以下では、「ウッティかわいバイオマス発電」を引き合いに、蒸気ボイラーと温水ボイラーの規模を比較するため、「最大蒸発量」(kg/h)を「最大熱量」kW(キロワット)へ換算する方法を整理してみます。これを知っていると、自分が知っているボイラーの出力を思い出せば、計画中のボイラーなどおおよその規模がイメージできるからです。
また併せて、ウッティかわいバイオマス発電の発電効率を推測し、評価してみます。
■最大蒸発量(kg/h)→出力(kW)に換算
蒸気の発生に要する熱量は、圧力、温度によって変わってきますが、ボイラー定格の最大蒸発量は、そのボイラーが実際に給水から所要蒸気を発生させるのに要した熱量を、標準状態における水の蒸発潜熱(2,257kJ/kg)で除したもの、と規定されています。
逆に言うと、 水の蒸発潜熱(2,257kJ/kg)に定格の最大蒸発量を掛けると、そのボイラーが発生する熱量になります。
ウッティかわいバイオマス発電の場合は、
2,257kJ/kg ☓ 28,000kg/h = 63,196,000kJ/h
一方、熱量J(ジュール)と、仕事率W(ワット)との関係式は、
1J = 1W・s
つまり、1Wの出力で1秒間運転したエネルギー量が1Jですから、
1kW・h = 1kJ☓3,600s = 3,600kJ
したがって、最大蒸発量28,000kg/hのこのボイラー出力kWは、
63,196,000kJ/h ÷ 3,600 = 17,554kW
ただし、上記の水の蒸発潜熱(2,257kJ/kg)は近似値ですから、端数など含めますと、
※最大蒸発量(kg/h)→出力(kW)に換算する係数
最大蒸発量(kg/h) ☓ 0.626954 =出力(kW)
ウッティかわいバイオマス発電の場合は、
28,000kg/h ☓ 0.626954 = 17,554.712kW ≒ 17,500kW
暗算するときは、最大蒸発量kg/hの6掛け強の値でkWの値になる、といった感じです。
バイオマスの温水ボイラーには様々な規模がありますが、よく使われるのは小型で200kW程度、大きくて500kW~1,000kWといった規模のものです。発電用の蒸気ボイラーの出力がいかに大きいか、お分かりいただけるかと思います。
とはいえ、これが石炭火力発電所ともなると、ボイラーの出力は数100万kWありますから、バイオマス発電のさらに数十倍はあります。木質バイオマスでは実現できない規模です。
■バイオマス発電所の発電効率を推測する
まず、発電効率の定義です。
バイオマスに限らず、ボイラーによる蒸気タービンの発電では、
①燃料 ⇒ ②ボイラー → ③蒸気タービン → ④発電機 ⇒ ⑤電力
といった流れになりますが、一般的に発電効率とは、「ボイラーに供給した燃料の発熱量」に対する「発電機出力」の比と定義され、正しくは、「発電端熱効率」と言います。
また、供給した燃料の発熱量は、低位発熱量基準で評価するお約束になっています。
さて、上記のボイラー出力換算で、②のボイラー出力が17,500kWであることが判明しています。
また、④の発電機が発生する⑤の電力は、5,800kWであると表示されています。
一方、単位時間当りに投入されるバイオマス燃料の量や発熱量はハッキリしません。そこで推測ですが、①燃料が②ボイラーで蒸気熱に変換される効率を、他のバイオマス蒸気ボイラーの事例などから80%と推測してみます。
すると、①で投入される燃料の熱量は、
17,500kW ÷ 0.8 = 21,875kW ≒ 22,000kW
このときに発生する電力が5,800kWですから、この発電所の発電効率(発電端熱効率)は、
5,800kW ÷ 22,000kW ≒ 0.26 すなわち、26%程度(推測)ということになります。
この数値が高いか低いか、ということですが、大型の石炭火力発電所の発電効率が40~43%などとされていますから、さすがにこれと比べれば低いということになります。しかしながら、石炭火力発電所の出力は数十万kWあるのが普通で、発電施設の大型化=高効率という常識からすれば、現状では妥当な発電効率と言えるのではないでしょうか。
■余ったエネルギー(熱)はどうなる?
もっとも、「ウッティかわいバイオマス発電」は発電のみの施設で、その熱を利用することが想定されていません。余った差し引き74%のエネルギーは、熱として周囲に放出されているわけです。そのため、発電施設ではあたりまえのことですが、施設の正面には蒸気を水に戻すための冷却塔がいくつも設けられています。
本当は、冷却塔で冷やす代わりにこの熱を、自社工場の木材乾燥に活かすことができればベターだったでしょう。実際、米マツ製材・集成材で国内最大手の中国木材株式会社・鹿島工場では、隣接地に神之池バイオエネルギー株式会社を設立し、鹿島工場で発生した樹皮や端材を神之池バイオに供給して発電し、その電力と蒸気を鹿島工場の電気と木材乾燥用の蒸気として利用する、という取組みを行っています。さらに、余った電力と蒸気は外部に販売するまで行っている、とのことです。
「ウッティかわい」も本当は、主力の集成材工場に隣接して発電所を建築したかったのだろうとは思いますが、様々な制約があり結局、雫石工場まで西に50km、川井の工場まで東に30km離れた当地に発電所を建築する判断に至ったのであろうと推測します。
なんだか、熱がもったいないですね。木材産業は「木」という重量・容積のかさむ原料を相手にするだけに、できれば、製材・加工とバイオマス利用をひとつにまとめてコンビナート化すると、熱や電気が上手に活用でき、さらに運搬コストも低減できたのだろうと思います。
どうせやるなら、もっと合理的な設備投資ができなかったものか。「ウッティかわいバイオマス発電」の場合も、なにか立地を規制するものがあったとしたら、これを緩和して差し上げることができなかったものだろうか。これが、施設を見学しての素直な感想デス。。。
次回は、「ウッティかわいバイオマス発電」のバイオマス材や燃料チップの受入状況などを整理してみます。
蒸気ボイラーは発電施設だけでなく各種工場の熱源やクリーニング店などの産業用に、温水ボイラーは暖房や入浴施設の熱源などに用いられています。
蒸気ボイラーの出力は「最大蒸発量」で評価されます。これは、最大連続負荷の状態で1時間に発生する蒸発量(kg/h又はt/h)でその能力を示しています。
一方、温水ボイラーの出力は発生する「最大熱量」で評価され、単位はkW(キロワット)で示されることが多いです。
そして、発電所の規模は発生する電力で評価され、単位はkW(キロワット)やMW(メガワット)です。
以下では、「ウッティかわいバイオマス発電」を引き合いに、蒸気ボイラーと温水ボイラーの規模を比較するため、「最大蒸発量」(kg/h)を「最大熱量」kW(キロワット)へ換算する方法を整理してみます。これを知っていると、自分が知っているボイラーの出力を思い出せば、計画中のボイラーなどおおよその規模がイメージできるからです。
また併せて、ウッティかわいバイオマス発電の発電効率を推測し、評価してみます。
■最大蒸発量(kg/h)→出力(kW)に換算
蒸気の発生に要する熱量は、圧力、温度によって変わってきますが、ボイラー定格の最大蒸発量は、そのボイラーが実際に給水から所要蒸気を発生させるのに要した熱量を、標準状態における水の蒸発潜熱(2,257kJ/kg)で除したもの、と規定されています。
逆に言うと、 水の蒸発潜熱(2,257kJ/kg)に定格の最大蒸発量を掛けると、そのボイラーが発生する熱量になります。
ウッティかわいバイオマス発電の場合は、
2,257kJ/kg ☓ 28,000kg/h = 63,196,000kJ/h
一方、熱量J(ジュール)と、仕事率W(ワット)との関係式は、
1J = 1W・s
つまり、1Wの出力で1秒間運転したエネルギー量が1Jですから、
1kW・h = 1kJ☓3,600s = 3,600kJ
したがって、最大蒸発量28,000kg/hのこのボイラー出力kWは、
63,196,000kJ/h ÷ 3,600 = 17,554kW
ただし、上記の水の蒸発潜熱(2,257kJ/kg)は近似値ですから、端数など含めますと、
※最大蒸発量(kg/h)→出力(kW)に換算する係数
最大蒸発量(kg/h) ☓ 0.626954 =出力(kW)
ウッティかわいバイオマス発電の場合は、
28,000kg/h ☓ 0.626954 = 17,554.712kW ≒ 17,500kW
暗算するときは、最大蒸発量kg/hの6掛け強の値でkWの値になる、といった感じです。
バイオマスの温水ボイラーには様々な規模がありますが、よく使われるのは小型で200kW程度、大きくて500kW~1,000kWといった規模のものです。発電用の蒸気ボイラーの出力がいかに大きいか、お分かりいただけるかと思います。
とはいえ、これが石炭火力発電所ともなると、ボイラーの出力は数100万kWありますから、バイオマス発電のさらに数十倍はあります。木質バイオマスでは実現できない規模です。
■バイオマス発電所の発電効率を推測する
まず、発電効率の定義です。
バイオマスに限らず、ボイラーによる蒸気タービンの発電では、
①燃料 ⇒ ②ボイラー → ③蒸気タービン → ④発電機 ⇒ ⑤電力
といった流れになりますが、一般的に発電効率とは、「ボイラーに供給した燃料の発熱量」に対する「発電機出力」の比と定義され、正しくは、「発電端熱効率」と言います。
また、供給した燃料の発熱量は、低位発熱量基準で評価するお約束になっています。
さて、上記のボイラー出力換算で、②のボイラー出力が17,500kWであることが判明しています。
また、④の発電機が発生する⑤の電力は、5,800kWであると表示されています。
一方、単位時間当りに投入されるバイオマス燃料の量や発熱量はハッキリしません。そこで推測ですが、①燃料が②ボイラーで蒸気熱に変換される効率を、他のバイオマス蒸気ボイラーの事例などから80%と推測してみます。
すると、①で投入される燃料の熱量は、
17,500kW ÷ 0.8 = 21,875kW ≒ 22,000kW
このときに発生する電力が5,800kWですから、この発電所の発電効率(発電端熱効率)は、
5,800kW ÷ 22,000kW ≒ 0.26 すなわち、26%程度(推測)ということになります。
この数値が高いか低いか、ということですが、大型の石炭火力発電所の発電効率が40~43%などとされていますから、さすがにこれと比べれば低いということになります。しかしながら、石炭火力発電所の出力は数十万kWあるのが普通で、発電施設の大型化=高効率という常識からすれば、現状では妥当な発電効率と言えるのではないでしょうか。
■余ったエネルギー(熱)はどうなる?
もっとも、「ウッティかわいバイオマス発電」は発電のみの施設で、その熱を利用することが想定されていません。余った差し引き74%のエネルギーは、熱として周囲に放出されているわけです。そのため、発電施設ではあたりまえのことですが、施設の正面には蒸気を水に戻すための冷却塔がいくつも設けられています。
本当は、冷却塔で冷やす代わりにこの熱を、自社工場の木材乾燥に活かすことができればベターだったでしょう。実際、米マツ製材・集成材で国内最大手の中国木材株式会社・鹿島工場では、隣接地に神之池バイオエネルギー株式会社を設立し、鹿島工場で発生した樹皮や端材を神之池バイオに供給して発電し、その電力と蒸気を鹿島工場の電気と木材乾燥用の蒸気として利用する、という取組みを行っています。さらに、余った電力と蒸気は外部に販売するまで行っている、とのことです。
「ウッティかわい」も本当は、主力の集成材工場に隣接して発電所を建築したかったのだろうとは思いますが、様々な制約があり結局、雫石工場まで西に50km、川井の工場まで東に30km離れた当地に発電所を建築する判断に至ったのであろうと推測します。
なんだか、熱がもったいないですね。木材産業は「木」という重量・容積のかさむ原料を相手にするだけに、できれば、製材・加工とバイオマス利用をひとつにまとめてコンビナート化すると、熱や電気が上手に活用でき、さらに運搬コストも低減できたのだろうと思います。
どうせやるなら、もっと合理的な設備投資ができなかったものか。「ウッティかわいバイオマス発電」の場合も、なにか立地を規制するものがあったとしたら、これを緩和して差し上げることができなかったものだろうか。これが、施設を見学しての素直な感想デス。。。
次回は、「ウッティかわいバイオマス発電」のバイオマス材や燃料チップの受入状況などを整理してみます。
2014年7月12日土曜日
「ウッティかわいバイオマス発電」を見学しました(その1) こんな施設でした
自然エネルギー電力の固定価格買い取り制度、いわゆるFIT法により現在、全国で90箇所にも上る木質バイオマス発電所の計画が進められているそうです。木質バイオマス利用はこれまでもっぱら熱利用でしたが、FIT法で一足飛びに木質バイオマス=発電といった雰囲気になってますね。
岩手県内でもこの4月から、県内におけるFIT認定第1号となる「ウッティかわいバイオマス発電」が稼働しました。先日、この施設を見学する機会に恵まれましたので、その様子をレポートいたします。
まずは、発電施設のスペックです。
■所在 岩手県宮古市区界第4地割
■発電出力 5,800kW(うち、施設内利用800kW)・・・一般家庭の12,000戸分相当(1戸当り3.5MWh/年として)
■ボイラー形式 流動層ボイラー
■実際蒸発量 28,000kg/h(ボイラー出力17,500kW相当)
■蒸気タービン形式 抽気復水タービン
■木質バイオマス使用量 90,000トン/年(うち、自社チップ4.5万トン/年)
■設計・施工 株式会社タクマ
場所はココ。盛岡市から宮古市に入った国道106号線沿いにあります。
見学の際に配布されたシステムフロー図です。
このフローはいわゆるランキンサイクルで、蒸気発電所の最も基本的な蒸気サイクルとされ、(1) 飽和水を給水ポンプでボイラに供給する過程、(2) ボイラで等圧加熱を行い過熱蒸気にする過程、(3) 原動機 (一般には蒸気タービン) で断熱膨張を行なって仕事を発生する過程、(4) 排気が復水器中で等圧冷却されて飽和水となる過程、の4過程から成っています。
システムフロー図ではボイラーの構造が分からないので、メーカーのタクマさんのHPから図を拝借。
ううむ、かえって分からんか(笑)
流動層ボイラーというのは、熱媒体として硅砂(石英の砂)を高温の流動状態に保ち、この中に焼却物を投入することにより瞬時に完全焼却させる焼却装置だそうです。燃焼に必要な空気は砂の下から吹き込まれ、砂は絶えず動いているので燃料は砂とスレ合いながら燃焼、未燃分(灰)を残して完全に燃焼する理屈です。
砂は一定の周期で循環していて、外部に取り出されたときに灰を分離、再び炉内に戻される仕組みです。
蒸気を発生させるのは図に書いてあるたくさんの管で、 この管を水管(すいかん)といいます。管が上部で集合している丸い部分を蒸気ドラム、下部で集合している部分を水ドラムと呼びます。節炭器(エコノマイザー)で予熱された水は蒸気ドラムに入り、ボイラー内の水管を上下するうちに熱せられて蒸気となり、蒸気ドラムからタービンに送られていきます。蒸気になれない水は下部の水ドラムに落ちて、熱せられるごとに水管を登っていくわけです。ボイラー内にポンプのようなものを設けなくても、ボイラー水に自然循環を行わせる上手い仕組みです。
ボイラーは水管が埋め込まれた壁(水冷壁)で覆われていてるので、熱は全て水管に伝わる理屈です。この方式のボイラーを、曲管式水管ボイラーといいます。
タービンを回し終わった蒸気は復水器で冷却されて、再びボイラーに送られ循環します。
ボイラーの種類や構造については、また日を改めて整理することにして、今日は施設の写真など。
施設は、ボイラー棟と発電棟に大きく分けられますが、これはボイラー棟の中の様子です。高さは25m以上あり、複雑な管だらけでよく見えませんでした(苦笑)
排ガスはバグフィルターを通して排出。
発電棟の中の様子。手前の青緑色の箱にタービン、奥のクリーム色の箱に発電機が収まっています。
人の背丈よりも若干高いくらいの大きさで、正直、さほど大きな規模じゃないな、などと思ってしまいました(失礼)
なお、発生する灰は、大船渡市の太平洋セメントさんが引き取っていただいているそうです。放射能検査を逐次に行い、100ベクレル/kg以下であることを確認している、とのことでした。
次回は、この発電所の規模や発電効率を整理してみます。
岩手県内でもこの4月から、県内におけるFIT認定第1号となる「ウッティかわいバイオマス発電」が稼働しました。先日、この施設を見学する機会に恵まれましたので、その様子をレポートいたします。
まずは、発電施設のスペックです。
■所在 岩手県宮古市区界第4地割
■発電出力 5,800kW(うち、施設内利用800kW)・・・一般家庭の12,000戸分相当(1戸当り3.5MWh/年として)
■ボイラー形式 流動層ボイラー
■実際蒸発量 28,000kg/h(ボイラー出力17,500kW相当)
■蒸気タービン形式 抽気復水タービン
■木質バイオマス使用量 90,000トン/年(うち、自社チップ4.5万トン/年)
■設計・施工 株式会社タクマ
場所はココ。盛岡市から宮古市に入った国道106号線沿いにあります。
見学の際に配布されたシステムフロー図です。
このフローはいわゆるランキンサイクルで、蒸気発電所の最も基本的な蒸気サイクルとされ、(1) 飽和水を給水ポンプでボイラに供給する過程、(2) ボイラで等圧加熱を行い過熱蒸気にする過程、(3) 原動機 (一般には蒸気タービン) で断熱膨張を行なって仕事を発生する過程、(4) 排気が復水器中で等圧冷却されて飽和水となる過程、の4過程から成っています。
システムフロー図ではボイラーの構造が分からないので、メーカーのタクマさんのHPから図を拝借。
ううむ、かえって分からんか(笑)
流動層ボイラーというのは、熱媒体として硅砂(石英の砂)を高温の流動状態に保ち、この中に焼却物を投入することにより瞬時に完全焼却させる焼却装置だそうです。燃焼に必要な空気は砂の下から吹き込まれ、砂は絶えず動いているので燃料は砂とスレ合いながら燃焼、未燃分(灰)を残して完全に燃焼する理屈です。
砂は一定の周期で循環していて、外部に取り出されたときに灰を分離、再び炉内に戻される仕組みです。
蒸気を発生させるのは図に書いてあるたくさんの管で、 この管を水管(すいかん)といいます。管が上部で集合している丸い部分を蒸気ドラム、下部で集合している部分を水ドラムと呼びます。節炭器(エコノマイザー)で予熱された水は蒸気ドラムに入り、ボイラー内の水管を上下するうちに熱せられて蒸気となり、蒸気ドラムからタービンに送られていきます。蒸気になれない水は下部の水ドラムに落ちて、熱せられるごとに水管を登っていくわけです。ボイラー内にポンプのようなものを設けなくても、ボイラー水に自然循環を行わせる上手い仕組みです。
ボイラーは水管が埋め込まれた壁(水冷壁)で覆われていてるので、熱は全て水管に伝わる理屈です。この方式のボイラーを、曲管式水管ボイラーといいます。
タービンを回し終わった蒸気は復水器で冷却されて、再びボイラーに送られ循環します。
ボイラーの種類や構造については、また日を改めて整理することにして、今日は施設の写真など。
施設は、ボイラー棟と発電棟に大きく分けられますが、これはボイラー棟の中の様子です。高さは25m以上あり、複雑な管だらけでよく見えませんでした(苦笑)
排ガスはバグフィルターを通して排出。
発電棟の中の様子。手前の青緑色の箱にタービン、奥のクリーム色の箱に発電機が収まっています。
人の背丈よりも若干高いくらいの大きさで、正直、さほど大きな規模じゃないな、などと思ってしまいました(失礼)
なお、発生する灰は、大船渡市の太平洋セメントさんが引き取っていただいているそうです。放射能検査を逐次に行い、100ベクレル/kg以下であることを確認している、とのことでした。
次回は、この発電所の規模や発電効率を整理してみます。
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