チップは製造方法により、刃物で加工した切削チップと、ハンマーやシュレッダーで砕いた破砕チップに大きく分けられます。
製紙用チップはサイズや品質が重視されるため、原材料には丸太原木や製材の背板(丸太を製材したときの余り)等を用いた切削チップが主に使用されます。
一方、ボード用には切削チップのほか、建築解体材等のいわゆる廃木材を原材料にした破砕チップが使用されます。ボードの代表的な製品はパーティクルボードで、カラーボックスに使われているのがこれです。
今回は切削チップについて整理していきます。
製紙用チップの多くは専門のチップ工場で生産されています。一般的に規模が大きく、年間に数万㎥の丸太を消費する工場も少なくありません。
原料の丸太は、一般的にまず木の皮(バーク)を剥いたのち、据え付け式のディスクチッパーでチップ化され、さらにフルイ(スクリーン)を通して一定形状・大きさに揃えてから出荷されます。製紙工場へは専用の大型コンテナ車で運搬します。
ここで生産されるチップをバイオマス利用する際、その特徴は、
1)品質・形状が一定しており、チップボイラーの搬送装置と相性が良くトラブルが少ない
2)年間の出荷量が大きいため、チップボイラー1箇所程度の需要は「おすそ分け」に過ぎない
3)工場はチップ生産に専念しており、バイオマス需要者への個別配送は行っていないのが普通
4)チップの水分は原木の状況に左右され、水分管理がなされていないことが一般的
これは、製紙用チップは水分を調整する必要が無いためで、なぜならチップを納入する際のルールとして、製紙会社側が水分以外の「実」の量を評価(測定)し、これに応じて納入伝票を切るのが一般的だからです。
なお、バークは製紙原料には適さないため、堆肥の原料かバークボイラーの燃料、あるいは家畜の敷料として販売(あるいは引き取り)されていることが多いです。バークボイラーも歴とした木質バイオマスボイラーですから、いずれ「便利帳」で取り上げたいと思います。
チップ専門工場以外で切削チップを生産しているのは様々な規模の製材工場です。これには、一般的な製材工場のほか、集成材などの大規模工場も含まれ、チップの生産量は工場の規模により異なります。
丸太を四角く製材するわけですから、製材工場はどこも大量の端材が発生します。その工場がどこまで細いものを挽くかにもよりますが、原木丸太の2割から多いところで4割以上もの端材が発生し、そのほとんどはチップ化され、やはり主として製紙工場に買い取られます。そのため、製紙工場が提示する仕様を満たすため、小規模工場でもスクリーン装置を備えている所が一般的です。
なお、製材品や集成材ラミナの乾燥熱源に、工場内のバークや端材を燃料とする木くず焚きボイラーを使用するケースが増えてきました。熱源に重油や灯油を使うよりも合理的なシステムですが、これら木くず焚きボイラーについても、いずれ「便利帳」で取り上げてみたいと思います。
続いて、移動式のチッパーを用いる方法を整理しようと思いましたが、だいぶ長くなりましたので、次回とさせていただきます。
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