先に燃料チップの熱量単価を算定しましたが、その結果はおよそ下記のとおりであろうかと思います。
2.1円/MJ(税込)・・・中小ボイラー向け、又はFIT認証付き大規模向け
0.7円/MJ(税込)・・・FIT認証無し大規模向け
さて、他の燃料としてここでは、石炭、A重油、灯油、LPガスを取り上げてみます。
1 石炭の価格と熱量単価
今から遡ること40年前、自分が小学校3・4年生で東京の昭島市に暮らしていた頃、小学校の暖房は石炭ストーブだった記憶があります。(しまった!歳がバレてしまいました)あの頃は身近な燃料であった石炭も、今では個人が入手することすら難しくなっています。
そのため、石炭の価格も分かりにくいのですが、石炭はもっぱら大規模向け(発電)ということにして、ここでは東北電力さんの算定根拠資料「燃料費」P12から、
原価織込み石炭CIF価格 10,113円/t
CIF価格とは、運賃・保険料込み条件の価格のことだそうです。発電所の着価格ということですね。
一方、石炭の低位発熱量は、先にお示しした「他の燃料の発熱量を知る」から
石炭(一般炭) 25.1MJ/kg = 25,100MJ/t
∴したがって、石炭の熱量単価は、
10,113円/t ÷ 25,100MJ/t = 0.4円/MJ
2 A重油の価格と熱量単価
A重油の価格は、資源エネルギー庁「石油製品価格情報」の産業用価格(軽油・A重油)から、
平成25年東北地区平均 91.7円/リットル(小型ローリー配達)
一方、A重油の低位発熱量は、上記と同じく「他の燃料の発熱量を知る」から
A重油 37.1MJ/リットル
∴したがって、A重油の熱量単価は、
91.7円/リットル ÷ 37.1MJ/リットル = 2.5円/MJ
灯油の価格についても、資源エネルギー庁の価格情報の給油所小売価格調査(ガソリン、軽油、灯油)から、
平成25年東北地区平均 1,829円/18リットル(配達) = 101.6円/リットル(配達)
一方、灯油の低位発熱量は、上記と同じく「他の燃料の発熱量を知る」から
灯油 36.7MJ/リットル
∴したがって、灯油の熱量単価は、
101.6円/リットル ÷ 36.7MJ/リットル = 2.8円/MJ
LPガスの価格については、一般財団法人日本石油情報センターの価格情報から、
平成25年東北地区平均 30,195円/50㎥
㎥をkgに換算するには、日本LPガス協会のLPガス単位換算表から、ガス1㎥は2.183kgなので、
30,195円/50㎥ = 30,195円/109.15kg = 276.6円/kg
一方、LPガスの低位発熱量は、上記と同じく「他の燃料の発熱量を知る」から
LPガス 47.0MJ/kg
∴したがって、LPガスの熱量単価は、
276.6円/kg ÷ 47.0MJ/kg = 5.9円/MJ
以上の計算結果を棒グラフにしてみました。
このグラフから概観しますと、
・石炭はさすがに安いです。FIT認証の無い燃料チップはこれに次ぎますが、このチップの価格(相場)が適切かどうかは不明です。
・中小ボイラー向け燃料チップは、A重油や灯油より若干安いランニングコストになります。
・ガスはランニングコストが高く付きます。
実際にボイラー導入を検討する際は、熱量単価(ランニングコスト)だけでなく、ボイラーの初期投資(補助金は使えるのか?)と減価償却(耐用年数は何年か?)、運転に係る人件費、メンテナンスや灰処理などの維持管理費、といったものを算定し、どの燃料を採用するかを総合的に判断することになります。
バイオマス系のボイラーは石油系のボイラーに比べ高価なものですから、基本的には、ランニングコストの差で初期投資の差を埋め合わせていくことになります。ですから、経済性の点からバイオマスボイラーを導入する場合は、相当期間の運用が必要であり、そのことによるリスクもあることは理解しておく必要があります。
ところで燃料チップの供給は、ビジネスとして魅力のあるもの、要するに儲かるものなのでしょうか?次回はこのあたりを検証してみたいと思います。
・石炭はさすがに安いです。FIT認証の無い燃料チップはこれに次ぎますが、このチップの価格(相場)が適切かどうかは不明です。
・中小ボイラー向け燃料チップは、A重油や灯油より若干安いランニングコストになります。
・ガスはランニングコストが高く付きます。
実際にボイラー導入を検討する際は、熱量単価(ランニングコスト)だけでなく、ボイラーの初期投資(補助金は使えるのか?)と減価償却(耐用年数は何年か?)、運転に係る人件費、メンテナンスや灰処理などの維持管理費、といったものを算定し、どの燃料を採用するかを総合的に判断することになります。
バイオマス系のボイラーは石油系のボイラーに比べ高価なものですから、基本的には、ランニングコストの差で初期投資の差を埋め合わせていくことになります。ですから、経済性の点からバイオマスボイラーを導入する場合は、相当期間の運用が必要であり、そのことによるリスクもあることは理解しておく必要があります。
ところで燃料チップの供給は、ビジネスとして魅力のあるもの、要するに儲かるものなのでしょうか?次回はこのあたりを検証してみたいと思います。
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