連休の余波で更新をお休みしてしまいましたが、引き続き今回は、燃料チップ供給側の事情を考えてみたいと思います。
なお、ここでは、製紙用チップ工場でのチップ生産を対象として考えます。移動式チッパーは規模もチップの品質もまちまちなので、あらためて考えることにします。
さて、ずばり、チップの製造にはどのくらいコストがかかるのでしょうか?今回は、岩手県林業技術センターの研究成果速報「木質バイオマス利用」にお世話になることにします。
速報のNo.166「製紙用チップ工場における土場残材のチップ化処理コスト」(平成17年7月27発行)を要約しますと、
1 調査及び試算の方法
・ 製造コストは聞き取りにより、修理・整備費、賃金、電気・燃料費、租税公課費、消耗品費等を調べた
・工場が減価償却を終えていると想定した場合と、減価償却が新たに発生する(チップ工場を新規に設置する)と想定した場合の双方を試算
・工場の規模(処理能力)は、1日6時間稼働で約100㎥/日の原木をチップ化、月産約800絶乾トンのチップ製造
・ チップの容積は、丸太材積の約2.6倍になった
2 結果及び考察
・減価償却を終えている場合、一般管理費を含めない工場稼働コストは約9万円/日
⇒ 丸太1㎥当りのチップ化コストは約900円/㎥
⇒ チップ1㎥当りのチップ化コストは約350円/㎥
・ 減価償却が新たに発生する場合 、一般管理費を含めない工場稼働コストは約15万円/日
⇒ 丸太1㎥当りのチップ化コストは約1,500円/㎥
⇒ チップ1㎥当りのチップ化コストは約580円/㎥
なお、このチップ工場の規模を説明しますと、100㎥/日の原木を消費し、800BDt(絶乾トン)/月のチップを生産する、となっていますが、これは、
月間の原木消費量(材積) 100㎥/日 ☓ 20日 = 2,000㎥/月
年間の原木消費量(材積) 2,000㎥/月 ☓ 12月 = 24,000㎥/年
月間のチップ生産量(絶乾トン) 2,000㎥/月 ☓ 0.4(絶乾比重) = 800BDt(絶乾トン)/月
年間のチップ生産量(絶乾トン) 24,000㎥/年 ☓ 0.4(絶乾比重) = 9,600BDt(絶乾トン)/年
といった規模であると考えてください。この規模は、岩手県内のチップ専門工場としては、平均よりやや大きいクラスであると思います。
原木1㎥当り、あるいはチップ1㎥当りの生産コストが分かったところで、次回は原木購入から納入までのコストを追ってみることにします。
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