木質バイオマス利用に役立つ忘備録です。これは!と思った情報を随時アップして参ります。

2014年4月12日土曜日

燃料チップの規格その1 全国木材チップ工業連合会さま

これまで、燃料チップの種類、形状、水分といった様々なファクター(品質に求められる要素)を見てきました。ファクターをまとめると「規格」となります。規格はいわば、燃料チップの供給サイドと、ボイラー利用者などの需要サイドの橋渡し役です。

現行の燃料チップの規格について今回から3回に分けてご紹介し、最後に比較をしてみたいと思いいます。というのも現在、燃料チップには公表されているもので2つの規格が、さらに公表へ向けて調整中の規格もあるからです。

公表中のひとつは、「全国木材チップ工業連合会」さまのもの、もうひとつはNPO法人「全国木材資源リサイクル協会連合会」さまのものです。
そして、検討中のものは、こうした規格を統合する形で「木質バイオマスエネルギー利用推進協議会」さまがとりまとめ中のものです。

おおざっぱに言って、「全国木材チップ工業連合会」さまは製紙用チップ供給を生業とする事業体の団体、「全国木材資源リサイクル協会連合会」さまは様々な木質資源のリサイクル利用を生業とする事業体の団体です。
そのため、その性格に応じた規格の考え方・捉え方に違いがあります。どちらが良い・悪いということではありません。


今回見ていくのは、「全国木材チップ工業連合会」さまの「木材チップ品質規格規程」になります。
http://zmchip.com/

規格の公表は平成24年5月23日、以下、5項目にわたる規格となっています。

1)樹種
①針葉樹チップを主体とするもの・・・ N
②広葉樹チップを主体とするもの・・・ L  
③針葉樹、広葉樹等混合チップを主体とするもの・・・ M

2)製造方法
①切削 (刃物で切削したもの)… S スクエアチップ
②打撃、破砕 (ハンマー、クラッシャーなどで木質繊維に沿って砕いたもの)… H ピンチップ、クラッシャーチップ

3)樹皮
①皮無し (白チップ) ・・・ 皮混入率1%以下 Bw
②皮付き (黒チップ) ・・・ 皮混入率20%以下 Bb
③樹皮チップ ・・・ 粉砕した樹皮を主体とするもの Ba

4)乾燥
乾燥程度〈湿量基準の含水率)で4区分する
D1 (20%未満) 
D2 (20%以上、30%未満)
D3 (30%以上、50%未満)
D4 (50%以上)
 
5)異物
金属、プラスチック、土砂など異物を含まないもの

※記号表示例
スギ、切削、皮無し、未乾燥、のチップ   … NスギSBwD4
広葉樹、破砕、皮付き、乾燥、のチップ   … LHBbD1


「全国木材チップ工業連合会」さまの規格の特徴としては、
1)原料はまじりっけの無い木材のみで異物は認めず
2)チップの大きさに規定が無い
3)樹皮の有無は原料の種類による3区分(皮を剥いた丸太、全木、樹皮のみ)
4)水分は湿量基準で4区分
といったところでしょうか。

推測するに、製紙用チップの規格に水分の項目をプラスしたような規格であると言えます。確かに、原料をピュアな木材だけに限定すれば、難しいことを言わずとも、こうした簡単な規格で事足りるのだと思います。


次回は、「全国木材資源リサイクル協会連合会」さまの規格を見ていきます。

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