木質バイオマス利用に役立つ忘備録です。これは!と思った情報を随時アップして参ります。

2014年4月13日日曜日

燃料チップの規格その2 全国木材資源リサイクル協会連合会さま

前回に引き続き今回は、「全国木材資源リサイクル協会連合会」さまの「木質リサイクルチップの品質規格」を見ていきます。
http://www.woodrecycle.gr.jp/pdf/hinshitukikaku.pdf

規格の公表は平成22年12月15日、6項目にわたる規格となっています。
なお、「全国木材資源リサイクル協会連合会」さまの規格は、燃料チップ(サーマル)だけでなく、各種マテリアル利用が含まれていますので、以下にはサーマルに関わる部分だけを抽出しました。

1)木質リサイクルチップの加工別による形状の種類
・切削チップ : 主に機械的に刃物で切削したもの。形状はおおよそ四角形のフレーク状の削片。
・破砕チップ : 主にハンマークラッシャーなどの機械的な打撃により木質の繊維に沿って砕いたもの。形状はおおよそ細長いピン状の木片。ピンチップ、クラッシャーチップともいう。
※これ以降、木質リサイクルチップにおいて表記の無いものは破砕チップをいう

2)木質リサイクルチップの品質基準
・A チップ(切削チップ含む) : 柱、梁材および幹材等の断面積の大きいもの、無垢材(防腐剤、合板、ペンキ付着物、金属、プラスチック類、土砂等の全ての異物、または樹皮を含まないこと)
・B チップ(切削チップ含む) : A チップと同様およびパレット、梱包材、解体材等の無垢材で比較的断面積の大きいもの(防腐剤、合板、ペンキ付着物、金属、プラスチック類、土砂等の全ての異物を含まないこと)
・C チップ : B チップと同様および合板等(防腐剤、ペンキ付着物、金属、プラスチック類、土砂等の異物を含まないこと)
・D チップ : C チップと同様および繊維板、ペンキ、接着剤等の付着したものなど(襖、障子等を含む。)、または枝、除根材等(CCA含有物、金属、プラスチック類、土砂等の異物を基本的に含まないこと)
・Eチップ : チップ製造の際の副産物(有害物質、金属を含まないこと)

3)木質リサイクルチップの利用用途標準
燃料チップ(サーマル)用途として、上記のA・B・C・Dは○だが、Eは△

4)製造における留意点
・チップサイズ : 切削チップは各ユーザーの受入れ基準に準ずる、A~Dの破砕チップは長辺 50mm以下(但しA、B チップは 5mm 以下を除く)、Eチップは5mm以下
・含水率 : サーマルは25%までとし、これを超えるものは協議が必要
CCA処理材は使用不可
・畳、草葉、腐朽材は基本的に使用不可(用途により利用する場合有り)
・土砂等も使用不可(目視等により判別)

5)再資源化施設において明らかにする項目を以下のとおりとする
(ア)木くずの種類ごとの保管施設の容量、屋根の有無
(イ)破砕機の仕様、原動機の出力(kw)、破砕能力(t/h)
(ウ)生産工程での異物除去の方法(手選別、磁選機および金属探知機の有無)
(エ)破砕機本体のスクリーンおよび篩機のスクリーンの仕様と有無
(オ)製品のストックヤードの保管容量、屋根の有無

6)品質試験(含有量試験・性状試験)
・必須試験項目 : サイズ、全水分、発熱量、灰分、塩素分
・その他試験 : 重金属項目については、利用目的、ユーザー等の要求により実施する場合がある


「全国木材資源リサイクル協会連合会」さまの規格の特徴としては、
1)あらゆる木質系の資源を活用する方向
2)チップの標準形態は破砕チップ
3)木質以外の不純物によって5段階の品質区分、燃料に適さない物も
4)あらかじめチップ供給者が施設の情報公開を行う
5)あらかじめチップ供給者が品質試験を行う
といったところでしょうか。

なお、上記のCCA処理材とは、かつて木造住宅のシロアリ防除のため用いられていた「クロム銅ヒ素系木材保存剤」クロム (Cr)・銅 (Cu)・ヒ素 (As) のことです。環境汚染の可能性があるため現在はほとんど使用されていませんが、解体家屋の土台材などに使用されているおそれがあるため、燃料チップとしての利用は難あり、としています。


さて、2つの業界の規格を見てきましたが、できれば1つの規格にまとまったほうが利用する側にとって有益です。次回はこうした1本化の動きを見ながら、規格について考察してみたいと思います。

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