木質バイオマス利用に役立つ忘備録です。これは!と思った情報を随時アップして参ります。

2014年4月19日土曜日

燃料チップの規格その3 木質バイオマスエネルギー利用推進協議会さま

燃料チップの規格その3は、「木質バイオマスエネルギー利用推進協議会」さまが公表された規格を見ていきます。

「木質バイオマスエネルギー利用推進協議会」は、木質バイオマスの利用にかかわる事業者や関係者を広く網羅し、2012年の7月に発足した新しい組織体です。その狙いとするところは、情報の共有と意見交換を通して、木質バイオマスのエネルギー利用を総合的・戦略的に推進することである、としています。いわば、「業界」の意見集約を行う組織体ですね。

会長には筑波大学名誉教授の熊崎実氏を据えるほか、チップの供給サイドからは「全国木材チップ工業連合会」と「全国木材資源リサイクル協会連合会」の双方の関係者が、さらに大手木材企業やボイラーメーカー、シンクタンクやコンサル会社も名を連ねるほか、技術面では岩手大学名誉教授の沢辺攻氏が幹事となるなど、今日の業界を網羅した錚々たる構成員となっています。

ちなみに、熊崎実氏と沢辺攻氏の共著による「木質資源とことん活用読本」は、木質バイオマス利用の技術面をわかりやすく整理した書籍として現在もっとも優れたものといって良いでしょう。この本をご購入いただければ、もう、このブログを見る必要はありませんねww

利用推進協議会さまの燃料用木質チップの品質規格は、2014年3月14日に開催された『木質バイオマスエネルギー利用推進セミナー』の報告会資料の中にあり、同日に公表されたものとされ、以下の表のとおり10項目にわたる規格となっています。
策定に際しては、「全国木材資源リサイクル協会連合会」、「全国木材チップ工業連合会」および「木質バイオマスエネルギー利用推進協議会」の三者により策定されたとしていますが、おそらくは、燃料用チップの欧州規格を横目で睨みながら、リサイクル協会連合会及びチップ工業連合会の双方に配慮しながら調整を行ったものと推測されます。
要するに、欧州規格に準拠している部分が多く見られる、ということですが、しかしこれは、今後も欧州先進国から多くを学ばなければならない我々にとって、賢明なことであると言えるでしょう。

なお、燃料用チップの欧州規格は、トモエテクノさまのこちら(和訳)、もしくはこちらの10ページ目(Table 8. Specification of wood chips for non-industrial use.)に掲載されています。ちなみに、「non-industrial use」とは、パーティクルボードなどのマテリアル利用ではない、という意味です。

このブログでは、規格の内容を再掲することはいたしませんので、ぜひ、利用推進協議会さまの規格と、欧州規格とをプリントアウトし、見比べることをオススメいたします。

さて、利用推進協議会さまの規格の特徴としては、
1)原料をClass1からClass4まで4区分し、無垢材からリサイクル材まで幅広く含める
2)その原料区分ごとに必要な品質項目(チップの寸法や水分、異物の混入など)を規定
3)Class1からClass4に数字が上がるにつれて品質がラフ
4)リサイクル材が含まれるClass3及び4には異物の基準が設けられている
といったところでしょうか。

以上のことから大雑把に言って、Class1は小規模温水ボイラー向け、Class2は中規模温水ボイラー又は小規模蒸気ボイラー向け、Class3は産業用蒸気ボイラー及び一部発電向け、Class4は発電向け、といった区分となり、あとは、ボイラーメーカーの仕様に従って適合したサイズや水分が指定される、といった使われ方になるでしょう。


次回は、燃料チップ規格のまとめを行い、その意義と課題、今後の展望を整理してみたいと思います。

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