木質バイオマス利用に役立つ忘備録です。これは!と思った情報を随時アップして参ります。

2014年3月16日日曜日

木質燃料の発熱量 その2

木材の水分と発熱量の関係を具体的に見ていきます。

低位発熱量は、高位発熱量から 1)燃料中の水素から生成する水、及び 2)燃料中に含まれている水分の蒸発熱を、計算により差し引いて割り出されます。この計算には、燃料中の水素の組成を知る必要がありますが説明がややこしいので、興味のある方は全国木材チップ工業会のこちらをご覧ください。

実用上、覚えておかなくてはならないのは、単位重量当りの木材において水分(湿量基準含水率)と低位発熱量は反比例関係にあること、及び次の関係式です。

■低発熱量(Q)の計算式(カロリー値)
Q = -55.75M + 4238
Q : 低位発熱量(kcal/kg)
M : 湿量基準含水率(%)

■低発熱量(Q)の計算式(メガジュール値)
Q = -0.2326M + 17.7
Q : 低位発熱量(MJ/kg)
M : 湿量基準含水率(%)

上記の式をグラフにしたのがこちら。

グラフを見てわかるとおり、低位発熱量の計算式は水分M(湿量基準含水率)を入力するだけの簡単な反比例式ですから、例によってAndroidスマホをお使いの方は「計算式電卓」のようなプログラム電卓に式を登録しておくと便利に使えます。

なお、このグラフを10%刻みの一覧表にすると次の表になります。高発熱量は昨日の「木材工業便覧」と同一です。
伐採したての木材は水分が50%を上回るケースもあり、このときの発熱量は水分0(絶乾)のときの半分以下になってしまいます。高含水率チップを利用できるチップボイラーも普及してきていますが、だからといって水分の多すぎるチップは燃料として不適です。
ストーブやボイラーとのマッチングを考慮しつつ、薪にせよチップにせよ、木質バイオマスは一定の水分コントロールを行うことが基本といえるでしょう。

次回は、木材と他の燃料との発熱量の比較をしてみたいと思います。

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