木質バイオマス利用に役立つ忘備録です。これは!と思った情報を随時アップして参ります。

2014年3月23日日曜日

木材の比重とバイオマス利用

先に、木質燃料の低位発熱量は、

■低発熱量(Q)の計算式(メガジュール値)
Q = -0.2326M + 17.7
Q : 単位当りの低位発熱量(MJ/kg)
M : 湿量基準含水率(%)・・・水分

で示されることをお話しました。この式を組み替えると、

E = ( -0.2326M + 17.7 ) ☓ W
E : エネルギー(熱)量(MJ)
W : 木質燃料の重量(kg)

つまり、樹種に関係なく木質燃料の発熱量は重量に比例する(ただし、水分が同じであれば)、ということですね。あたりまえ、のような話ですが。

ところが、木材は樹種によって単位容積(材積)当りの重量、すなわち比重に大きな違いがあります。代表的な樹種の比重は次のようになりますが、例えば同じ針葉樹でも、スギとアカマツでは3割以上もアカマツのほうが重いわけです。
※出典:世界の有用木材7800種
なお正確に言いますと、ここでの比重とは、木材の空隙を含む全体積V(㎥)が質量M(kg)であった場合のM/Vの値のことです。木材は細胞壁などの実質部分とその他の空隙部分から構成されているわけですが、細胞壁だけの比重は1.50程度で樹種によってほとんど差が無いそうで、この値を真比重といいます。
つまり、スギのような軽い木は空隙だらけのスカスカで、逆にその倍もあるコナラの木はみっちりしている、というわけです。

樹種による比重の違いは、生育環境や地域によって差がありますのでご注意ください。例えば、アカマツは広島県のものと岩手県のものでは広島のほうが重いことが知られていますし、岩手県内でも地域差があります。

ところで木材を売買するとき、製材品向けの木材は容積(材積)当りの単価で、製紙・パルプ向けは重量当りの単価で(場合によっては、これを容積に換算して)取り引きされることが一般的です。これは、製紙・パルプ向けの木材は曲がり材や細い材といった低質材が多いため、材積を測るのが厄介だからなのだと思います。

上記のスギとアカマツの話に戻りますと、この2つの樹種を燃料として利用した場合、もし材積当りの単価が同じ(例えば、10,000円/㎥)だったとすると、比重が3割重いアカマツを買ったほうが使う側は3割得をすることになります。逆に売る側としては、アカマツのほうを3割高く売ってもスジが通る理屈です。

しかしながら、現在のところ木質バイオマスの市場は未成熟であり、燃料チップの取り引きも、容積単位のところ、あるいは重さで取り引きするところと様々なのが現状です。また、供給する側の水分管理も十分とは言いがたく、燃料としてのコストパフォーマンス、すなわち熱量単価を加味した価格形成がされているわけではありません。

とはいえ現実として、ある程度の相場は形成されつつありますので、次回から燃料チップの種類と相場を見ながら、他の燃料と熱量単価の比較をしてみたいと思います。

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