木質バイオマス利用に役立つ忘備録です。これは!と思った情報を随時アップして参ります。

2014年4月27日日曜日

燃料チップの熱量単価を算定する

先に燃料チップの価格相場を見て参りましたが、これを羅列しますと、

■全国木材チップ工業連合会
1)燃料用等 11.0円/㎏(生重量)・・・該当区分:C1M45

■全国リサイクル協会連合会
2)F1(バイオマス証明付き) 7.5~8.0円/㎏(生重量)・・・該当区分:C1M55
3)F2(バイオマス証明無し) 0.1~1.0円/㎏(生重量)・・・該当区分:C1M55、C2M55

■岩手県内の小規模温水ボイラー向け事例
4)3,727.5円/㎥(含水率100%以下想定)・・・該当区分:C1M45
5)3,951.15円/㎥(含水率60%以下想定)・・・該当区分:C1M35

さっそくそれぞれの熱量単価(円/MJ)、すなわち、1MJの熱を得るために何円かかるかを計算していきます。


1 単位重量(kg)当りの発熱量
木質バイオマスエネルギー利用推進協議会」さまの規格では、発熱量を高位発熱量で評価するようになっていますが、このブログでは、後に他の燃料と熱量単価を比較することを想定し、低位発熱量で計算してみることにします。

上記では、水分が35%、45%、55%のものがありますが、これら燃料チップの発熱量(低位発熱量)の計算式は、
Q = -0.2326M + 17.7
Q : 低位発熱量(MJ/kg)
M : 湿量基準含水率(%)

でしたから、それぞれ、
M35のとき、Q = 9.56MJ/kg
M45のとき、Q = 7.23MJ/kg
M55のとき、Q = 4.91MJ/kg


2 容積を重量に換算
上記の1)~3)は重量が分かっていますが、4)5)の重量が不明です。
聞き取りにより、樹種はカラマツが主体であるということなので、先にお示しした換算表により、

M45(水分45%) → 含水率82%のカラマツチップ ・・・ 約250kg/㎥
M35(水分35%) → 含水率54%のカラマツチップ ・・・ 約200kg/㎥

したがって単価は、
4)3,727.5円/㎥(M45)÷250kg/㎥ = 14.9円/kg
5)3,951.15円/㎥(M35)÷200kg/㎥ = 19.8円/kg


3 燃料チップの熱量単価計算
以上、重量と水分、kg当りの単価がわかれば熱量単価が計算できますが、4)5)は配達料込みの価格であるのに対し、1)~3)には運賃が含まれていないので一律2円/kg(トン当り2,000円の運賃)を加算することにします。

1)チップ工業連合会M45 (11.0円/kg + 2.0円/kg)÷7.23MJ/kg = 1.80円/MJ
2)リサイクル協会F1M55 (8.0円/kg + 2.0円/kg)÷4.91MJ/kg = 2.04円/MJ
3)リサイクル協会F2M55 (1.0円/kg + 2.0円/kg)÷4.91MJ/kg = 0.61円/MJ
4)温水ボイラー向けM45 (14.9円/kg + 0円/kg)÷7.23MJ/kg = 2.06円/MJ
5)温水ボイラー向けM35 (19.8円/kg + 0円/kg)÷9.56MJ/kg = 2.07円/MJ


以上の結果は、あくまで予想される水分に従って算定した熱量単価です。実際には、個々に水分測定してみないことには正確なことは言えませんが、傾向としてはつかめるかと思います。

考察しますと、
・温水ボイラー向けチップの熱量単価は、どちらも2円/MJ程度で公平(というか、そのように逆算している)
・FIT対応(F1)の燃料チップの価格は、温水ボイラー向けの熱量単価と同等(と目される)
・FIT非対応(F2)は安価だが水分管理が不明であり、原料の品質がワンランク下
・チップ工業連合会の1.8円/MJは大規模利用を想定しているので、小規模な温水ボイラー向けは配送込みでやはり2円/MJ程度になるのではないか


さて次に、他の燃料と熱量単価と比較をしてみる予定でしたが、だいぶ長くなったので、次回のお楽しみにしたいと思います。

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