木質バイオマス利用に役立つ忘備録です。これは!と思った情報を随時アップして参ります。

2014年5月25日日曜日

灰とその取り扱いを考える(その2) 廃棄物か?資源か?

木質燃料を燃焼させると灰が残ります。灰はアルカリ性が強く、成分は主にカリウムと石灰であるとされ、古くから肥料として活用されてきました。

灰の発生量は、木材の絶乾重量当り、木部では0.2~0.7%、樹皮では2~7%とされています。おおざっぱに、木部で0.5%、樹皮でその10倍と覚えておけば良いでしょう。木材全体では1%弱といったところでしょうか。

なお、以上は純粋に木材だけの話ですので、建築廃材など防腐剤や塗料等が含まれる場合は、肥料としての活用は避けなければなりません。
また、純粋に木材だけを燃焼させた場合も、1)不幸にも放射性物質が含まれる場合や、2)燃焼時の反応で六価クロムが生成される場合もあります。1)2)については次回以降に整理して参ります。

1  廃棄物と資源との境目は?
過去に出された廃棄物関連の法令・通達は量も膨大で内容も複雑です。ここでは、専門のサイトである産業廃棄物適正処理応援サイト「産廃web」のお世話になることにします。このサイトのこちらに「廃棄物の定義と種類」が解説してありますが、これによると廃棄物と資源の違いはひとえに、売買の対象になる有価物であれば資源、売買できない不要物は廃棄物、ということになります。

よく聞かれることですが、ここでの「有価」とは、利用者が運搬料まで含めて有価で買い取ることを意味します。例えば、灰を1トン=1円で有価だと言い張っても、1トンの灰を運搬することを考えると、これは有価物とはみなされません。
このあたりの根拠となる通達は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の運用に伴う留意事項について」厚生雀環境衛生局環境整備課長通達(昭和46年10月25日)によるものです。

なお、発生した灰を自ら肥料などに活用できる場合は、当然のことながら、廃棄物とはみなされません。


2 産業廃棄物と一般廃棄物の違いは?
「廃棄物」は更に「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分類されます。法的には、事業活動によって生じた20種類の廃棄物を産業廃棄物として、それに該当しないものを一般廃棄物としています。灰は、産業廃棄物の種類の中で「燃え殻」に区分されます。

事業活動とは、製造業や建設業に限定されるものではなく、オフィス、商店等の商業活動や、水道事業、学校等の公共事業も含めた広義の概念となります。また、産業廃棄物には量的な規定がないので、個人事業主の事業規模が小さい者から排出される場合や、極めて微量な場合であっても、該当するものは全て産業廃棄物になります。

ですので厳密に言えば、同じ薪ストーブでも、個人宅で使っている薪ストーブから出た灰は一般廃棄物、お店に設置してある薪ストーブから出た灰は産業廃棄物、ということになります。厳密に言えば、です。

なお、法的な区分として、一般廃棄物は市町村に処理責任があるのに対し、産業廃棄物は排出事業者に処理責任があります。法的に取り扱いが異なるため、廃棄にあたっては、市町村等の一般廃棄物用の処理施設での処理・処分することはできないこととされ、産業廃棄物を処理・処分できる許可を受けた産業廃棄物処理事業者へ処理・処分委託することとなっています。

ちなみに、産業廃棄物として灰を処分する場合、最終処分場に埋め立てされるケースがほとんどです。その処分費用として、岩手県のある最終処分場では1トン当り2万円かかります。発電や数千キロワットを超える蒸気ボイラーの運用では、処分する灰の量も年間数百トンになりますから、これらの経費もあらかじめ見積もっておく必要がありますね。


さて以上、一般的な灰の処理や対応を整理しましたが、次回はより深刻な問題、灰に含まれる放射性物質の問題を数回に分けて整理してみたいと思います。

2 件のコメント:

  1. 南木曽町 健ちゃんと申します。あまりにも詳しく書いてあるので。ブログをやっておりまして
    わが町にも 家の150m下に出来る計画が 慎重に対応と言っていますが業者も町も情報だしてくれないので勝手にブログ作りまして、 記事紹介させていただきます。
    http://nagisobaio.or-hell.com/

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  2. Kenさま 貴殿のブログ拝見いたしました。小生のつたないブログを取り上げていただき光栄です。放射能とバイオマスの問題は引き続き整理していきたいと思います。本日もさきほどアップしましたのでご参考になれば。なお、業務でやっているブログではないので、筆が遅いことはご了承ください(苦笑)

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